抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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微小粒子状物質(PM<sub>2.5</sub>)の環境基準が告示されたのは2009年であるが,それ以前の濃度測定結果を見ると,年平均濃度は漸減傾向にある。その理由を解明するため,化学物質輸送モデルに適用したトレーサー法により,2000年から2008年までのわが国のPM<sub>2.5</sub>の発生源寄与を解析した。発生源寄与評価では,国内人為発生源は種別に6区分,国外人為発生源は領域別に中国,韓国,その他の領域の3区分とし,これに全域の船舶および自然発生源を加えた計11区分を対象とした。現在に比べると限定的なものの,当時の利用可能な観測データをもとにモデルの再現性を検証した。その結果,モデルは妥当な再現性を示し,観測に見られた漸減傾向をおおむね再現した。トレーサー法による推定の結果,全国年平均のPM<sub>2.5</sub>濃度に対して2000-2001年は国内人為発生源が,転じて2002年以降は国外人為発生源が最大の寄与を示した。国外人為発生源の寄与は増加傾向を示し,そのほとんどは中国の人為発生源の寄与によるものであり,それだけで国内人為発生源の寄与を上回る年もあった。これに対して,自然発生源の寄与が2003年以降小さいこと,そして,国内の自動車の寄与が有意(p<0.001)に低下したことにより,PM<sub>2.5</sub>濃度が漸減したことが解明された。国内の発電所,産業,民生,農畜産,その他の人為起源発生源の寄与の経年的な変化は不明瞭であった。(著者抄録)