抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,東日本大震災により生じた宮城県における地震遺構を扱うための,保存,移築そして修理のプロセスを検討した。この目的のために,21の地震遺構を分析し,維持プロセスの30要素を抽出し,適切なラベルを作成した。著者らは,時系列図と流れ図を作成し,地震遺構の保存における4つの段階を抽出した:(a)処理決定段階,(b)基本概念段階,(c)設計段階,(d)実施段階である。遺構が保存されない場合には,「転換」型と「解体」型に分けられた。地震遺構の維持の間に起こったイベントに基づいて,地震の発生後の時間を3つの期間に分割した:開発,考察,および実施。開発期には,女川町の警察暑が地震遺構として保存することが決定され,気仙沼市の漁船が解体されることが決定された。この期間の終わりに向けて,政府は地震遺構の初期コストを負担することを決定した。考察期間中には,多くの自治体が,保存または除去のような地震遺構の処理について議論し,決定した。この期間の間,自治体は,専門家によって記録された値に従って,各自治体がそれらの遺構を保存するように決定した地震遺構専門家との会議を開催した。最後に,実施期間の間には,自治体は保存と維持対策の具体的レビューを実施した。これらの事例をレビューするとき,遺構が保存されるべきかどうかについては,市民の意見が考慮された。続いて,保全プロセスにおける市民の意見に焦点を合わせ,それらの内容,方法,目的,日付などを整理した。37の意見の中で,83%は自治体によって編集されたが,残りの17%は市民によって自発的に提出された。著者らは,これらの意見を分類するために,ラベル「地震の記録」,「市民の選択」,「保存/解体の処理など」を作成した。さらに,「保存と利用のための提案」または「保存と利用のための政策案」としてラベル付けされた,地震遺構計画に基づく利用方法に関する意見があった。意見内容と処理決定との関係については,ラベル「保存が好ましい」と「保存要請」を用いた。保存が除外されたとき,ラベルは,「転換型」と「解体型」型とほぼ一致する「多数が保存に反対」と「意見不明」であった。結論として,本研究は,地震遺構の維持過程において,自治体が基本的実体であることを実証した。市民の意見と専門家によって提供されたアドバイスは,段階毎の方法における地震遺構のための行政意思決定に関するコンセンサスを,確立するのに役立つ可能性があるものとした。さらに,市民からの多数意見の意向に基づいて,処理決定が決定されていることを明らかにした。意思決定段階における市民参加が,設計あるいは実施段階に影響する可能性があると信じる。市民との連携における持続可能な管理を容易にするためには,地震遺構と市民の意見の間の関係に関するさらなる研究が必要である。(翻訳著者抄録)