抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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価格変動と送電混雑の間隔に注目して北欧電力卸売市場を経済物理学的に解析した。まず,人間活動を反映してシステム価格の変動には強い周期性があることを確認した。そして,周期性を取り除いた価格変動を解析し,価格差は無相関だが価格差の大きさには長期相関があり,価格差の変位はベキ分布し,暴騰・暴落の起きる間隔はすそ野の広い分布をするというオープンマーケットでみられる普遍的な性質を確かめた。一方,数十日以上の長い時間スケールでみても拡散は遅く,一般の市場と比較して平均回帰性が強いことが分かった。また,価格が上と下のどちらに先に到達するかに注目した連検定により平均回帰性の統計的有意性を示した。次に,実際の売買に使われるエリア価格の分布を調べ,エリア価格はシステム価格から非常に大きく乖離することがあることを確認し,乖離の大きさから送電混雑を定義した。送電混雑の間隔分布にはスケーリング関係があり,平均間隔で規格化することでエリアや銘柄によらない同一の分布になることが分かった。さらに,混雑間隔列の系列相関を調べ,ケンドールの順位相関と連検定により,連続する間隔の間の正の相関と混雑発生のクラスター性の統計的有意性を示した。以上の結果は,電力市場の安定性やリスク評価において重要な知見であり,電力市場における価格変動の理解を深め,乱高下のメカニズムの解明に貢献するものと考えられる。(著者抄録)