抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
【目的】1994年に定められた特別用途食品高齢者用食品に替わる嚥下障害食の物性基準として,2008年に特別用途食品えん下困難者用食品許可基準(案)が示された。しかし,この新基準は,聖隷三方原病院の食事基準をたたき台としたが,物性の測定条件などにおいて異なる点を含んでいる。そのため,今回の研究では,市販嚥下補助食品を用いて新基準の妥当性を検証することを目的とした。さらに,市販嚥下補助食品で作製したゼリーの特性についても検証した。【方法】市販嚥下補助食品を用い,お茶,牛乳,味噌汁を溶媒としたゼリーを作製後昇温させ,品温が10°C,20°C,45°Cとなった時,圧縮速度1mm/secおよび10mm/secにて物性を測定した。得られた物性値を,聖隷三方原病院の食事基準の物性範囲およびえん下困難者用食品許可基準(案)のそれぞれで評価し,同じ障害の程度に分類されるかを評価した。さらに,整合性をとるためには,新基準の物性範囲をどのように変化させればよいかを検討した。【結果】圧縮速度1mm/secおよび10mm/secで得られた値を,それぞれの基準で評価した場合,障害の程度の整合性は48.1%であった。整合性を上げるには,付着性の範囲の下限値,および許可基準IIの硬さの範囲の上限値を変化させる必要性が示唆された。また,物性への影響は,溶媒が異なることより,品温が変化することの方が大きいことがわかった。【結論】えん下困難者用食品許可基準(案)は,付着性の範囲の下限値および許可基準IIの硬さの範囲の上限値に,見直しの余地があることが示唆された。また,市販嚥下補助食品を使用したゼリーの物性管理には,品温の管理が重要であることが示された。(著者抄録)