抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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図2は,海面水温,27°C等温線深度,50m深鉛直流速の日気候値である(見やすさのために2年分を表示している)。海面水温および27°C等温線深度は,4月頃から増加傾向を示し,5月頃にそれぞれ約28.5°C,75mに達し,その後,減少する。そして,9月頃に最小値(約27.6°C,45m)を示した後に,増加し,11月頃に大きな値(28.5°C,60m)を示し,11月頃から再び減少傾向となり,1月から3月にかけて,小さな値となる(約27.7°C,50m)。このようにsemi-annual変動が見られる。また,鉛直流速を観察すると,海面水温および27°C等温線深度が増加する時期(3月,4月,10月頃)では,下向き流速となり,海面水温および27°C等温線深度が減少する時期(6月,12月頃)では上向き流速となる。このことから,鉛直流速と27°C等温線深度および海面水温の時間変化傾向が良く対応していることが分かる。大規模なエルニーニョは4月から6月に発生することが知られている(e.g.,Horii and Hanawa 2004 GRL)。本結果は年サイクルにおいて,大規模なエルニーニョ発生に先行して,発生年の前年12月から発生年の3月では,PNG北岸の沿岸湧昇と同期して海面水温が冷却されることを示している。さらに,季節内スケールについて同様の解析を行った(図は示さない)。まず,1981年から2004年の間に発生した7例のエルニーニョ(1982,1986,1991,1994,2002,2004年に発生)において,エルニーニョ発生年の前年12月から発生年3月の間の4ケ月間において,各月毎に(a)鉛直流速が上向き流速,(b)27°C等温線深度が減少傾向,(c)海面水温が減少傾向の3つの条件を満たす日数を求めた。その結果,7例全てのエルニーニョにおいて,上記4カ月のうち少なくとも1ケ月は3つの条件を満たす日数がその月の38%-58%を占めた。エルニーニョが発生しない年においては,前年12月から当年3月の4ケ月間のうち,上記の条件を満たす日数が40%以上となる月が1ケ月以上存在するケースは16例中5例のみとなった。このことから,年サイクルに加えて,季節内スケールにおいても,PNG北岸の沿岸湧昇とそれに起因すると考えられる海面水温冷却がエルニーニョ発生に寄与する可能性が示唆される。...(著者抄録)