抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1997/98年エルニーニョの発生に先行する1997年3月中旬において,28.5°C以下の低海面水温域がPNG北岸(4°S-EQ,135°E-145°E)に見られる(図1)。同時期には,PNG北岸に向かって28°C等温線深度が浅くなっており,これは沿岸湧昇の特徴と一致する。さらに,この時期にはPNG北岸沿いに沿岸湧昇を導く西風が分布していた。これらは,この低海面水温の発生要因の一つとして,沿岸湧昇が寄与する可能性を示唆する結果であり,OFESや歴史的海面水温データを用いた結果(e.g.,Hasegawa et al.2009改訂中)と一致する。次に,海面水温,海面気圧,東西風の赤道沿い時間経度断面図を作成することによって,低海面水温期における大気海洋変動を調べた。期間は1997年3月1日から3月31日である。海面水温と海面気圧の時間経度断面図(図2左)から,28.5°C以下の低海面水温域が東向きに拡大する様子が見られる。この低海面水温域には,高い海面気圧(1008~1011hPA)が同時に存在する。一方,155°Eより東部では西部と比較して海面水温が高くなっており(29°C以上),低海面気圧(1006~1008hPa)が存在する。このように,正の海面水温東西勾配に対応して負の海面気圧東西勾配が存在している。このことは,海面水温分布に対する局所的な大気の応答過程を示している可能性が強い。実際に,海面気圧と海上風の赤道沿い時間経度断面図(図2右)から,強い西風が,この高気圧領域と低気圧領域の中間(145°E付近)で分布する様子が分かる。これらの結果から,PNG沿岸湧昇期に見られる低海面水温と関係する正の海面水温東西勾配が海面気圧変化を通じて,1997/98年エルニーニョ発生前の西風強化に寄与した可能性が示唆される。発表では,局所的な大気海洋相互作用現象に関してさらに詳しく調べた結果を発表する予定である。(著者抄録)