抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1982/83年エルニーニョの発生に先行する1981年12月から1982年2月にかけて,PNG北岸の沿岸域(3S-2.5S,142E-142.5E)で領域平均した海面水温が28.8°Cから27.6°Cまで冷却し,同時に27°C等温線深度が約80mから50mまで浅くなり,上向き鉛直流速が卓越する様子が示された(図は示さない)。図1から1982年1月では周囲よりも低い約28°Cの低海面水温域がPNG北岸沿いに分布している様子がわかる。すなわち,1982/83年エルニーニョ開始に先行して,PNG北岸沖の海面水温の低下とPNG北岸の沿岸湧昇が同時に発生していた。これは,観測データの解析から見られる2002/03年エルニーニョ発生前の沿岸湧昇と海面水温低下の関係(Hasegawa et al.2009改訂中)と一致する。次に,1982/83年エルニーニョ開始前におけるPNG北岸の海面水温変化と沿岸湧昇に関係する鉛直熱移流の効果を調べた。図2は,1981年11月1日から1982年2月28日におけるPNG北岸の沿岸域(3S-2.5S,142E-142.5E)で領域平均した表層水温(0-50m鉛直平均水温)の時間変化率(°C/day)と鉛直移流によって説明される0-50m鉛直平均水温の時間変化率(°C/day)の時系列を示す。図2から,1981年12月1日付近では,表層水温の時間変化率(約-0.07°C/day)の大部分を鉛直熱移流で説明されることが示される。また,1982年1月1日付近や2月1付近においても表層水温の時間変化の約50%が鉛直熱移流で説明し得ることが示される。このことから,海面水温低下は沿岸湧昇に関係する上向き流速によって生ずる鉛直熱移流によって良く説明されることが示唆される。他のエルニーニョの発生前においても同様の結果が得られた(図は示さない)。この結果から,エルニーニョ発生前のPNG北岸沖海面水温低下に果たす沿岸湧昇の役割が大きいことが示唆される。さらに,エルニーニョ発生前の1月と通常期の1月(エルニーニョがその直後に発生しない,あるいはエルニーニョが発生中ではない)の海面水温の水平分布を比較するために解析期間全体で合成図解析を行った。...(著者抄録)