抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本州中部・多雪地域の里山林において,カタクリの生育に影響する環境要因を検討した。富山市高瀬・寺家・角間で設定した270コドラートで春期の相対散乱光と個体数の関係を検討したところ,本種は相対散乱光20%以下では生育していなかった。同じ調査地で設定した27プロットについて,カタクリ個体数を応答変数,調査地域・春期の相対散乱光・上層木ならびに下層木の常緑落葉別の胸高断面積合計・標高・方位を説明変数として,ポアソン回帰を行った。その結果,カタクリの個体数は,調査地域間で差が大きいが,地域内では標高が低いほど,上層や下層の常緑樹の胸高断面積が小さいほど,多いことがわかった。また,富山市角間の約17.5ha地域内の格子点230点のうち,カタクリが生育するのは82点であった。カタクリは北向きで土壌水分条件がより良い場所に生育していた。夏期3カ月間の地温の平均値が22°Cを越えるか,または22°C以上の期間が1,000時間を越える場所ではカタクリは生育していなかった。以上のことから,本種は富山県の丘陵帯では温度の上限付近で生育しており,その保全や育成を図るなら,春先の光環境を決定する林相だけでなく,標高・方位・斜面位置等の立地要因も考慮する必要があることが確かめられた。(著者抄録)