抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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檜皮葺には,ヒノキ立木から形成層を傷つけぬよう剥がれた外樹皮が使われる。伝統技法では,初めて剥ぐ樹皮「荒皮」よりも,初回剥皮後2回目以降に剥ぐ樹皮「黒皮」の方が高品質とされてきた。本研究は荒皮と黒皮の物性比較を目的とした。和歌山,徳山,千葉,福岡に生育したヒノキを1998年に剥皮し2008年に黒皮を得,対照木から得た荒皮と比較した。水分挙動について検討したところ,黒皮では液状水吸収量のばらつきが荒皮より格段に小さいこと,黒皮では水滴の接触角が荒皮より大きいことが,全産地に共通していることを前報にて報告した。より詳細な検討により,接触角が大きい黒皮では小さい荒皮よりも表面が精で,アルコールベンゼン抽出物量が多くリグニン量が少ない傾向が見られた。これより黒皮の水分挙動の違いには物理的・化学的要因の両方が関与していることが示唆され,剥皮が立木の樹皮の成分・微細構造に変化を及ぼす可能性が示された。(著者抄録)