抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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1。日本経済が長期化する閉塞感から抜け出せないなか,多くの企業では多方面にわたる業務プロセス改革が求められているが,その道は困難を極めている。野村総合研究所(NRI)は,業務プロセス改革に有効な着想と視点を提供する「エスノグラフィ」に注目している。その理由は,1)エスノグラフィが「人が言うこと」ではなく「人が行うこと」に着目していること,2)新しい意味を発見する対話のプロセスを重視していること,3)実践経験を通じてその有効性を高く評価していること-の3点にある。2。本稿で提案するエスノグラフィを活用した業務プロセス改革は次の特徴を持つ。第1に4つのステップ(1)行動観察,2)観察結果の共有・分析,3)解釈・意味づけ,4)改革案の創出)を踏むこと。第2に,その組織特有の「ものごとの考え方」「ものごとの判断の仕方」「意思疎通の仕方」「仕事の進め方」などが内包された「組織ルーティン」に着目すること。第3に,組織運営上のボトルネックを発見する観察フレームワーク(7つの視点)を用いることである。3。エスノグラフィを用いることにより,旅行代理店A社は無人・有人店舗のチャネル連携改革を実現し,B銀行は事務処理のボトルネックの発見と解消,国際物流業C社は事務処理の効率化を実現した。4。エスノグラフィの導入に際していくつかの抵抗はあるが,エスノグラフィに込められた着想と視点を活用して企業人の思考を転回していく時代に来ている。エスノグラフィに共感を覚え,実践する人々が増えることを期待したい。(著者抄録)