抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本稿では,古生物学における3次元データを活用した化石の新しい展示方法について紹介する。近年,3次元データの活用が増加しているが,古生物学においても,試料内部を非破壊で観察できるX線CTが積極的に利用されつつある。今回,工業用X線CT装置を使用して絶滅哺乳類の顎化石を測定し,試料の内部構造を含めた詳細な3次元データを取得した。これにより,貴重な試料を切断することなく,任意方向や断面での観察が可能となり,またX線吸収率の違いにより,試料形状のみならず材質等の推定および表現にも用いることができた。さらにX線CT測定結果から3次元形状データ(コンピュータ上のバーチャルモデル)を作成し,部分ごとに分けて表現した。これにより,内部構造を表現したり,地層中に埋まった化石をそのままの産状で表せるなど,試料の理解に大変有用な見せ方を提示できた。一方3次元造形機(3Dプリンタ)は,実際に手に取れる実物モデルを制作して形状確認や機能検証を行うことができる強力なツールとして近年注目されている。今回,取得した3次元形状データから,手に取れる化石の実物モデルを造形し,歯と顎とを個別かつ2分割モデルとして造形することで,組み合わせ状態や内部構造を観察できるようにした。また,形状不鮮明部をデータ上で修正した複製の作成や,実寸の2倍サイズでの造形など,コンピュータ上のデジタルデータであることも活かして造形できた。