抄録/ポイント:
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中国では経済成長に伴い大気中のPM
2.5濃度が上昇し,人体に深刻な影響をもたらす水準にあることが報じられている。近年の観測から,中国から日本へ長距離輸送されてくるPM
2.5の影響が懸念されている。このため,この長距離輸送起源のPM
2.5と日本国内起源のPM
2.5の成分による違いや季節別の特徴に基づいた考察がなされている。ところで,大気中のPM
2.5は,粒子状で直接排出される一次粒子と,ガス状で排出された物質が大気中の化学反応で粒子化された二次粒子に大別されるが,後者の生成には,大気中のアンモニア,硫酸および硝酸が重要な役割を果たしている。このことを踏まえて,本研究では,対象地域を広く東アジアに広げて,化学輸送モデルGEOS-Chem ver.9.1.1および,中国のNH
3排出量を調節した東アジアの人為起源大気汚染物質排出量推計REASver.2.1を用い,東アジアにおけるPM
2.5濃度に関するエアロゾル組成を再現した上で,観測値と比較しその精度を検証した。また,気候条件による違いについても考察するとともに,中国におけるNH
3,SO
2,NO
xの排出量に対する感度解析を行い,東アジアにおける大気中PM
2.5濃度に及ぼす前記各物質の排出量の変化の影響を評価した。GEOS-Chemで再現されたNH
4+,SO
42-,NO
3-の月平均濃度の季節変化は,東アジア酸性雨モニタリングネットワークの観測結果と整合した。また,感度解析の結果,NH
3排出量を減少させると,NH
4+とSO
42-の濃度が減少すること,SO
2排出量を減少させると,NO
3-濃度が増加し,NH
4+濃度が減少することがわかった。加えて,中国のNO
x排出量を増加させた場合には,福岡,隠岐におけるNH
4+,SO
42-,NO
3-濃度に対してあまり影響を与えないこと,また,中国のSO
2排出量を減少,NO
x排出量を増加させた場合には,東アジアにおけるPM
2.5濃度は若干減少するに留まり,組成的には,SO
42-の割合が減少し,NO
3-の割合が増えることがわかった。