抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
本稿では,日本の小麦収量の低位性という問題の解決に向けて,ドイツの小麦作との比較を通して,収量性を規定している要因を,経営的,技術的,制度的条件から分析した。まず,経営的条件としては,ドイツでは面的に集積された大区画圃場のもとで,大型機械を用いた高能率な作業が行われており,いわば農場制農業とも呼ぶべき圃場条件と大型機械を十分に稼動できる規模的条件が整っていた。また,技術的条件としては,省力的かつ集約的な技術体系が確立されており,大規模であっても決して粗放的な管理がなされているわけではなかった。さらに,制度的条件としては,既存品種と比較した品質評価方法がとられている点や,産地品種銘柄であるか否かや,外観に関わらず同一グループ(品質)であれば品種を混合して販売することが可能となっている点があげられる。こうした品質評価および取引体制は,生産者の品種変更を阻害せず,新しい品種,つまり収量性が高い品種のより迅速な普及,さらには開発を加速している。このようなドイツにおいて高い収量水準を実現している条件を踏まえると,日本においても今後は,農地の面的集積による圃場の連担化・大区画化を通して小麦作の一層の規模拡大を図るとともに,窒素反応の高い品種を導入しながら,追肥を中心に多収を実現できる栽培技術を構築していくこと,さらに,その前提となる新品種の早期の普及が促進されるための制度面での改善を図っていく必要がある。(著者抄録)