抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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重粘土FOEAS圃場への葉茎菜類の適応性を評価するため,夏どりネギ(短葉性根深ネギ)と秋どりブロッコリーの栽培試験を行い,以下の結果を得た。1.本研究では,地下水位制御を行わない開放区においても根域の土壌水分不足をきたすことは無く,継続的な地下水位制御の有無によるネギ,ブロッコリーの生育・収量の差異は概ね小さかった。2.ただし,多雨条件となった2011年の秋どりブロッコリー栽培期間中には,制御区で排水機能の低下が生じ,畝内の土壌が極端な過湿条件となり生育が抑制された。3.また2012年夏季の土壌乾燥時のブロッコリー定植直後,制御区では地下灌漑により圃場全体の地下水位および根域の土壌水分を高めることができ,苗の良好な活着と初期生育が得られ,結果的に定植直後の散水灌漑量が不十分となった開放区と比較して収穫期が早まり増収した。4.根量(乾物重)が最も多く分布したのは,施肥法に関わらず,株直下,定植時畝面から深さ10cmの層であった。この層に近い,株直下深さ10cmの位置に,NPKを慣行比20%削減した肥料を全量基肥施用した局所一発施肥(条施肥)で,慣行の全層施肥・追肥体系以上の良好な生育・収量が得られた。以上のように,ネギ,ブロッコリーとも重粘土FOEAS圃場で概ね良好に生育することが示された。ただし,重粘土圃場への根深ネギの導入は,定植および土寄せにおける機械作業の問題により制約を受けると考えられた。また,継続的な地下水位制御による増収効果は限定的ではあるものの,FOEASの地下灌漑機能は定植後の良好な活着と初期生育をはかるために有用である可能性が示された。ブロッコリーは,現在でも北陸地域の水田転換畑での機械化栽培が普及しているが,地下灌漑機能をもつFOEASの導入により,定植時に必須となる灌漑作業を省力化できるので,適応性はさらに高まると考えられた。(著者抄録)