抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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本論文では,ル・コルビュジェが写真家ウッジェーヌ・アジェの写真を何枚か所有していることについて述べた。ル・コルビュジェはそれらを用いて,彼の著書における都市計画概念を例示した。1931年から1945年の間の期間に注目すると,それは2つの世界戦争の間の時間にほぼ対応している。それは,ヨーロッパの芸術世界の原理における大きな変化の期間である。本論文では,ル・コルビュジェの著書とパリ,人々,および生活条件に関する彼の展望について時系列で述べた。最初に,ル・コルビュジェと超現実主義者の間の接点を明らかにした。次に,ル・コルビュジェがアジェの写真を取得する年代を調査した。アジェは1927年に死亡した。3年後の1930年に,アジェの最初の写真集が出版された。まさにその同じ年,ル・コルビュジェは,アンドレ・バートンのような超現実主義者と一緒に仕事をし,アバンギャルド雑誌Minotaureを出した。2枚のアジェの写真がル・コルビュジェの収集の中にあるのを発見し,それらが獲得できる2つの可能な方法を提示した:1)ル・コルビュジェはアジェがまだ生きている時に,アジェのアトリエで写真を購入した可能性がある。2)ル・コルビュジェは,1930年に前述の「Minotaure」で働いている芸術家からの写真を得ている可能性がある。アジェの顧客リストを「Jeannuot of Dessinateures Industrielles」の中に見出しているが,この人がCharles Edouard JeanneetやPierre Jeanneetであるかどうかはまだ確認されていない。続いて,ル・コルビュジェは,3つの書籍においてアジェの写真を用いたことを検証した。「Plans No.2」(1931),「Le Ville Radieuse」(1935),「Le Lyrisme des TEMPS Nouveaux et L」Urbanisme」(1939)では,パリの状況に関する懸念を表現し,理想的な都市のビジョンを述べた。写真を「計画Voisin」のスケッチと組み合わせて用いており,それらはル・コルビュジェの都市計画概念の一部であったと言える。1931年にアジェの写真を3枚用いた。1939年にはル・コルビュジェのスケッチと共に写真の1枚だけが使用されていることが分かった。一方,「精度」(1930)においては,計画Voisinのスケッチのみを用い,アジェの写真は含まれなかった。したがって,この10年間にル・コルビュジェがアジェの写真に対する態度を変化させた。最後に1930年から1940年にかけてのパリの状況を示し,引き続くフランスにおける第2次大戦開始までの状況を示した。1932年のパリでは,コレラやチフスのような伝染病が発生し,非衛生的な地域に蔓延したので,近代的思考に基づく修正が必要である。ル・コルビュジェは研究業務に没頭し,パリの新しい都市計画をまとめていた。ル・コルビュジェは人々が健康的で,もっと衛生的な生活ができる環境を目指し,将来の計画として,アジェの写真に見られる古いパリを無くすことを目指した。(翻訳著者抄録)
