抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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一般に,高齢者にとって女声は男声よりも聞き取りにくいとされている.しかし,話者の性別が聞き取りやすさに及ぼす影響については,特に日本語を用いた研究事例が少なく,聴取者の年齢や外乱も考慮した系統だてた検証が求められている.本研究では,その第1段階としてATR音声データベースに収録された日本人話者の女声と男声の音響特徴を分析し,比較を行った.明瞭性・了解性に関連する音響特徴の性差に着目するため,1モーラあたりの発話長,変調スペクトル,基本周波数,フォルマント周波数,子音長,および子音部のCOGを算出し,性別間で比較した.その結果,発話長と振幅変調スペクトルには明確な性差は認められなかった.一方,基本周波数やフォルマント周波数,GOEは女声の方が高く,子音長は男声の方が長かった.しかし,これらの音響特徴において聞き取りやすさの違いに影響しうる明確な性差は見出せなかった.今後,聴取実験を行い,その結果を音声の音響特徴や聴覚の加齢特性等と対応づけることで,音声の性別による聞き取りやすさの違いとそのメカニズムを検討する必要があると考えられる.(著者抄録)