抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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海氷中に形成されるアイスアルジーは,膨大な現存量とその産生する有機物によって細菌群集構造の組成・活性等を大きく変動させている。南極の海氷では,アイスアルジーに由来するクロロフィルa濃度が1,000μgL
-1にも達することがあり,また,南大洋の基礎生産(1,300TgCyr
-1)の5%(63-70TgCyr
-1)を占めるといわれている(Thomas and Dieckmann,2002,Science,295:641-644)。これまでの研究で,海氷には低温菌や好冷菌といった種類の細菌群が優占することが分かってきているが,多くの海氷研究は極域で行われており,極域以外の季節海氷域の研究例はあまりない。北海道東部沿岸サロマ湖は季節海氷域であり,極域の海氷と同様にアイスアルジーが形成され,周辺海域の生物生産に大きく寄与している。極域とは地理的に隔離されているが類似した海氷環境(ここではサロマ湖)に,類似した細菌群集が存在していれば,微生物ループを介する類似した物質の流れの存在が考えられる。したがって,これらのことを明らかにすることは,海洋全体の微生物ループを介した物質循環の変動機構の解明につながると考えられる。本研究では,海氷細菌群集構造の特徴を明らかにすることを目的とし,サロマ湖の海氷・海水中の細菌群集構造を解析し,極域において報告されている細菌群集との比較を行った。(著者抄録)