抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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外洋水の黒潮沿岸域への流入は清澄で暖かい海水を湾内に運ぶ事から,湾内の海洋環境に大きな影響を及ぼす事が知られている。また,外洋水の流入に伴って突然発生する強流は湾内沿岸の定置網に流失や破損などの被害を及ぼす事が知られ,この強流の発生は「急潮」と呼ばれている。しかし,外洋水の流入の時間スケールや空間スケールの詳細,および外洋水流入の原因に関して,駿河湾はもちろん他の海湾でもその知見は充分ではない。そこで,これらの諸問題の解決を目的として駿河湾における外洋水の流入路にあたる湾口東部海域の水深650mの地点においてADCP(音響のドップラー効果を用いた多層流速計)により300m以浅の流動の長期係留観測および湾口東部沿岸と湾奥西部沿岸において自記水温計による係留観測を行った。同海域の流動は湾への流出入を示す南北成分が卓越する。また同流動の卓越周期は時期により異なり,数日~約10日周期と半月~1ケ月周期の両方またはどちらか一方である。前者は100m以浅に限られる鉛直構造を持ち,後者は上層ほど強いが300mまでのほぼ全層で見られる鉛直構造を持つ。この他に時折2,3日スケールの強い流入が寒候期に100m以浅の上層で見られる。(著者抄録)
