抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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機械翻訳を用いたコミュニケーションにおいて,翻訳リペアは不適切な翻訳箇所の少ない文章を作成する方法として重要な役割を果たす。一方,翻訳リペア作業はユーザに対して負担が大きく,コミュニケーションへ翻訳リペアを適用する場合,リペア効率の改善が不可欠である。リペア効率の改善手法の1つとして,翻訳不適箇所を指摘する手法が提案されている。従来研究では,精度向上の成功率や適切でない修正をした割合によって,翻訳不適箇所指摘の効果が評価されている。しかし,実際のコミュニケーションへの利用の観点から,修正時間などのコストに関する効率化が不可欠であり,翻訳不適箇所指摘の有効性を議論するためには,コストの軽減効果について検証する必要がある。そこで本論文では,翻訳不適箇所指摘を用いた翻訳リペア実験を行った。本実験では20文字以上30文字以下の文の翻訳リペアを行い,翻訳不適箇所指摘のリペア効率改善効果に関する考察により,以下の知見を得た。(1)本実験では,翻訳不適箇所の指摘により,修正箇所の判定に関する学習期間の短縮効果が見られた。特に,低精度な折り返し翻訳文のリペアにおいて,提案手法による学習期間短縮の高い効果が見られた。しかし,この効果は大きなものではなく,リペア支援を行うためには翻訳不適箇所指摘以外の手法の検討が必要である。(2)被験者の不正確判定率が適切な翻訳リペアの実施に影響している可能性が高く,不正確判定を減少させるための正確な文意一致判定の仕組みが必要であると考えられる。(3)本実験では,コスト軽減の観点から,翻訳不適箇所指摘は大きなコスト軽減に貢献できず,翻訳リペア支援の効果は不十分であることを示した。(著者抄録)