抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,非破壊かつ雰囲気に制限を受けない深さ分解表面分析として,試料表面から蛍光収量(FY)検出取り出し角を小さく取った斜出射FY-XAS(X線吸収分光)法が提案された。局所構造あるいは特定元素の化学状態を反映したXAFS(X線吸収微細構造)スペクトルの取り出し角依存性,すなわち検出深さ依存性を数時間の測定で得ることが可能である。本研究では,鉄ベース合金の酸素分圧制御下熱処理に伴う合金元素の外方拡散と表面濃集,選択酸化等の挙動解析をひとつの応用例として本手法を適用した。対象試料は3.72mass%Mn含有鉄ベース合金であり,773Kおよび973Kで30分間熱処理した。まず,MnK吸収端より高エネルギー側の6555eVに分光・単色化したX線を入射し,放射されるMnK蛍光線強度の検出角依存性を測定した。熱処理試料では,Mnが試料表面に濃集していることが確認された。次に,入射X線エネルギーをMnK吸収端前後900eVにわたって走査し,XAFSスペクトルを得た。その結果,未処理試料ではbcc-Fe格子に置換した金属Mnで存在することが確認され,熱処理試料では表面近傍でMnOの形成が観測された。また,熱処理温度が高い方がより深い領域まで酸化物相になっていることが分かった。