抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,淡水化および製塩プロセスを核とした海水総合利用システムにおいて,スケーリング対策としての溶存Ca・Mgの分離・回収法を確立するとともに,海水資源利用に向けたCa塩,Mg塩の合成,高品位化が可能なプロセスを開発することを目的とした。濃縮海水中の溶存Ca・Mgの効果的な分離・回収法としては,塩の溶解度の観点から,二酸化炭素(CO
2)との反応晶析によって炭酸塩を得る手法が考えられ,生成物として炭酸カルシウム(CaCO
3),炭酸マグネシウム(MgCO
3),およびCaCO
3とMgCO
3の複塩であるドロマイト(CaMg(CO
3)
2)が想定される。これらの炭酸塩の結晶品質(多形,擬似多形,CaとMgの組成比,粒径,純度)の制御が行えれば,溶存Ca,Mgを効果的に高品位化できる。さらに,濃縮海水中から得られたCaCO
3の一部にリン酸および水酸化処理を行えば,生体材料として有望なハイドロキシアパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)などのリン酸カルシウム塩類としてさらなる高品位化も図れる。濃縮海水からCO
2微細気泡の導入によって回収したCaCO
3のリン酸および水酸化処理によりアパタイト類を生成させる高品位化プロセスについて検討を行った結果,1)模擬濃縮海水にCO
2気泡を供給した場合,MgCO
3は生成せず,CaCO
3のみ生成する。2)CO
2気泡の微細化によりアラゴナイト型のCaCO
3の生成効率が増加する。3)水溶液中に懸濁させたCaCO
3は反応温度が333KおよびpHが7でのリン酸・水酸化処理によりCa
10(PO
4)
6(OH)
2に効率的に転換できる知見を得た。また,製塩実苦汁からKClを回収した後の脱K苦汁を利用した炭酸塩の晶析現象において,供給するCO
2気泡の微細化効果について検討を行った結果,1)脱K苦汁へのCO
2気泡供給によりCaMg(CO
3)
2が析出する。2)CO
2気泡の微細化により核発生誘導期の短縮およびCaMg(CO
3)
2収量が増大する。3)CO
2気泡の微細化によりCaMg(CO
3)
2のMg/Ca比の増加および微粒化が図れることを明らかにした。(著者抄録)