抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年の地震警報の発達は目覚ましく,地震発生後即時に地震規模(マグニチュード(M))を含む地震情報がもたらされるようになってきている。しかしながら,地震計から即時に推定される地震規模はM8を超えるような巨大地震においては頭打ちとなることが知られており,マグニチュードの飽和と呼ばれている。この問題は,リアルタイムキネマティックGNSS解析を用いて巨大地震によって発生する変位を捉え,有限断層モデルを即時推定することで改善することが可能である。今回,国土地理院が運用するGNSS連続観測網GEONETを用いて,リアルタイムで地震規模を推定するシステム(REGARDプロトタイプ)を開発した。このシステムは,リアルタイムGNSS解析による1Hz変位時系列の連続計算と,地震イベントの自動検知,短時間で実行が可能な全自動の断層モデル推定部からなる。今回,REGARDの性能を検証するため,平成15年十勝沖地震,平成23年東北地方太平洋沖地震,シミュレーションによる南海トラフ三連動型地震における実時間を想定した地震規模推定を試みた。その結果,これら全ての地震において,高い残差減少率(Variance Reduction)を示す断層モデルを地震発生から3分以内に地震規模が飽和することなく得ることが可能であった。さらに,断層面が一様でなく破壊領域も複数に分かれた複雑な震源となる南海トラフ三連動型地震についても,すべり分布モデルで正しい地震規模を得ることができた。これらの結果から,REGARDプロトタイプに実装されたスキームによって,M8クラスの震源規模を自動で精度良く得ることが可能で,これは既存の地震計データから即時推定される地震規模に見られる飽和を防ぐのに非常に有効である。(著者抄録)