抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本論文の目的は,大規模OSSプロジェクトにおける不具合修正プロセスの課題を明らかにし,不具合修正プロセスの効率化するための方法を検討することである。オープンソースソフトウェア(OSS)の普及に伴い,近年,OSSプロジェクトに報告される不具合が急増している。プロジェクトによっては1日に数百件の不具合報告を受けることも珍しくないため,不具合を短期間のうちに修正することは困難になりつつある。しかし,OSSの社会的重要性は増す一方であり,不具合修正の長期化を解消するための方策が望まれている。そこで,本論文では不具合の修正状況を俯轍的に把握するために,不具合修正プロセス中で時間を要する作業やフェーズを把握するためにBTSを利用している3つの大規模なOSSプロジェクトを対象に分析を行った。そして,ケーススタディの結果をまとめ,多くの不具合に実施される作業とその作業時間を示し,また,不具合修正プロセスの中で最も時間を要するフェーズを示した。その結果,プロジェクトそれぞれで不具合解決までに必要な作業内容が大きく異なること,また,各フェーズを比較することで改善を要するフェーズを確認できることを示した。さらに,不具合修正プロセス中で最も時間を要するフェーズや作業,担当者の変更回数,再修正要する不具合の件数などを網羅的かつ俯瞰的に把握できることが分かった。したがって,本分析方法を用いることにより,OSSプロジェクト管理者は,プロジェクトに報告された大量の不具合票を1つ1つ確認することなく,修正が頻繁に滞る原因となる作業を容易に把握することができるため,不具合修正プロセスの改善のために自身のプロジェクトで有効な方策を選択しやすくなるものと考える。