抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,熱帯アジアのアリ植物オオバギ属をめぐる生物群集というモデル系を用いて,熱帯の生物多様性を産み出す要因としての寄主転換の重要性を明らかにすることを目的としている。アリ植物オオバギ属には,特殊化したアリ(シリアゲアリ属),カイガラムシ(ヒラタカタカイガラムシ属)が共生し,寄生者としてオオバギ属に特殊化したシジミチョウ(ムラサキシジミ属)が存在する。オオバギとアリの関係は約2000万年前に起源したことが推定されていたが,熱帯アジア広域から採集したカイガラムシとシジミチョウの分子系統樹にミトコンドリアDNAの平均進化速度を当てはめ,カイガラムシは約800万年前,シジミチョウは約200万年前にオオバギ系に参入したという推定値を得た。オオバギ属の寄生者として,シジミチョウの他に,カメムシ,ナナフシ,タマバエもあり,今後これらの種も含めて,種間関係の形成過程や共進化を介した相互多様化,寄主転換の要因を研究することが必要である。