抄録/ポイント:
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赤く彩られた漆器類が特徴的な製品である亀ケ岡文化期の津軽地域の漆工文化を明らかにする目的で,標記の土井(1)遺跡から出土した籃胎漆器,堅櫛,繊維製品について自然科学分析を行った。特に,非破壊・非接触で内部構造を観察できるX線CT分析により,籃胎漆器及び堅櫛について編組や内部構造を解明することを試みた。また,資料から剥離した極小破片から作製した薄片プレパラートを生物顕微鏡,電子顕微鏡,エネルギー分散型蛍光X線検出装置に用いて,顔料の特定と重ね塗り構造分析を行った。漆器籃胎部の素材同定は,漆塗装内面の生物顕微鏡及びデジタルマイクロスコープによる観察を行った。その結果明らかになった標記遺跡出土漆器類の漆工技術について,考古学的初見と材質・技法に関する考察を記述する。籃胎漆器では,ござ目編みと網代編みの2種類の編目が確認され,X線CT観察の有効性が顕著であった。また3層の漆層が確認され,元素マッピングにより重ね塗りにベンガラや朱を混ぜた漆の塗布が明らかになった。堅櫛は籃胎漆器に比べて大きさや形態,構造,塗りが一定であることがわかり,決まった作業工程で数多く制作された可能性が示された。