抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,GPUのような演算加速装置を用いたクラスタがHPC分野で多く用いられるようになってきている。筑波大学計算科学研究センターでは,ノードを跨ぐ演算加速装置間での直接通信を実現するために,密結合並列演算加速機構TCA(Tightly Coupled Accelerators)を提唱している。このTCAの実装としてPEACH2(PCI Express Adaptive Communication Hub version2)が開発されており,ノードを跨ぐGPU間での直接通信を行うことができる。しかしながら,TCA/PEACH2を利用するためには独自のAPIを用いる必要があり,プログラミングコストが高く,既存のアプリケーションの移植も容易ではないという問題がある。GASNetは,Lawrence Berkeley National Laboratoryで開発されている通信ライブラリで,UPC(Unified Parallel C)やCo-array Fortran,XMP(XcalableMP)などのPGAS(Partitioned Global Address Space)言語のための低レベル通信レイヤを提供する。本稿ではこのGASNetをTCA/PEACH2によって実装する。また,GASNetはCPUメモリを対象とした通信しか想定されておらず,GPUを対象とした拡張は現在開発段階にある。TCA/PEACH2は主にGPUメモリを通信対象として開発されており,GPU対応のGASNetが実現されれば,TCA/PEACH2上のGASNet実装の適用範囲が広がると考えられる。本稿では現在進行中のGASNetのGPU対応についての検討や実装に関しても触れる。プロトタイプ実装において,GPUメモリを対象とした通信性能はTCA/PEACH2を直接使用した場合の性能と比較して,最小レイテンシの増大は10%程度に抑えられ,ソフトウェア支援によって最大バンド幅は1.2倍の性能向上を達成した。(著者抄録)