抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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音楽,画像,動画などのディジタルコンテンツに対して他のディジタル情報を付加する技術として電子透かしがある。音楽を対象とした電子透かし法では,ステゴ信号の音質が劣化しないことが求められている。この要件に対して,本稿ではホスト信号とステゴ信号との間に差異があった場合でもステゴ信号が音楽として成立していれば楽曲としての音質が劣化していないと定義する。そのために,音楽理論のうち和音に着目し,ホスト信号と協和音の関係になるように透かしを埋め込む。さらに本稿では,モノラル信号の分離手法の一つである非負値行列因子分解を透かしの埋め込みに利用する。非負値行列因子分解では,観測音響信号の振幅スペクトログラムを一つの行列とみなし,頻出するスペクトルパターンをモデル化したスペクトル基底行列と,それらの基底の時間的な強度変化をモデル化したアクティベーション行列との積に近似的に分解する。この分離されたアクティベーション行列の係数から発音時刻と消音時刻を推定して各音の発音区間を求める。推定された音から楽曲の調を判定し,推定された音を根音とした和音を決定する。さらに,和音の構成音である中音と属音の関係にある音階に対応するアクティベーション行列の係数を操作することで透かしを埋め込む。(著者抄録)