抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本海に流入した対馬暖流は,日本海の海洋循環に影響を与えるだけでなく,東シナ海から熱や淡水を東シナ海から日本海へ輸送している。対馬暖流による熱輸送は,沿岸域に温暖な気候をもたらすだけでなく,日本海側の降雪と関係すると考えられている。水産大学校では,練習船を用い,2004年から年間数回の頻度で,対馬海峡とその周辺海域における現場海洋観測を重点的に行っている。本稿では,水産大学校練習船「天鷹丸」によって,11年間,夏季に観測された対馬海峡CL測線の水温・塩分構造の特徴と,それらの長期変動特性を示す。観測データとしては,2005年から2015年の夏季に,対馬海峡CL測線で,練習船「天鷹丸」のCTD観測によって得られた水温・塩分プロファイルデータを用いる。対馬海峡CL測線における夏季11年間の水温と塩分の鉛直断面をそれぞれ本文に示す。表層には高温低塩分水,下層には低温高塩分水が分布しており,両者を境に水温・塩分躍層(水温・塩分の鉛直勾配が急な層)を形成している。躍層の深度は10mから80m付近にあり,水平位置や年による変化が大きい。水温の躍層深は,西水道で浅く,東水道で深い傾向であり,西水道に比べ,東水道の水温の鉛直勾配は緩やかな傾向を示す。これらの特徴は,地衡流を考えると,北東向きに(東シナ海から日本海へ)対馬暖流が流れていることや,水温躍層が水平方向に傾けば東水道に比ベ西水道で強流となることと定性的に一致する。