抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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複雑化,大規模化するスーパーコンピュータ(スパコン)上でのプログラム開発とその安定な実行は困難な課題である。本研究では,計算機の専門家でない科学者や技術者がスパコン向けの様々なシミュレーションプログラムを容易に開発し,高速・安定に実行するための環境ppOpen-HPCを開発する。主な研究成果は次のとおりである;(1)高性能なハイブリッド並列化された分散並列H行列ライブラリ:境界要素技術やN体問題等で用いられる高速行列演算技術であるH行列法のライブラリ(HACApK)を開発した。H行列の生成過程に関する新手法の開発等により,既存のライブレリH-libに対して,H行列に関する行列ベクトル積演算で約7倍の高速化(逐次演算)を達成した。(2)分散行列H行列ライブラリの応用分野への展開:JAMSTEC,京都大学で実施している地震サイクルシミュレーションでは,H行列の分散メモリ化により,大規模な解析規模の拡大が可能となった。これは既存のH行列ライブラリーが分散メモリ化されておらず,生成するH行列のサイズが単一の計算ノードに記載されたメモリ量に制限されていたことによる。(3)並列多重格子法における通信最適化に関する研究(ppOpen-MATH/MG):大規模問題向けのスケーラブルな手法として知られている多重格子法について,通信(Communication)最適化の観点から研究を実施した。Serial Communicationについては,疎行列格納法を検討し,世界に先駆けてSliced ELL法のデータ依存性を含むプロセスへの適用を実施した。Parallel Communicationとしては並列格子法の効率化に資する(Coarse Grid Aggregation),hCGA法(Hierarchical CGA)を提案し,富士通FX10 4,096ノードを使用して,高い性能と安定性を得た。