抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ストリゴラクトン(SL)は,1966年に,ストライガやオロバンキという植物根寄生性植物の発芽刺激物質として発見された,カロテノイドから誘導されるテルペノイドラクトンである。本稿では,著者が取り組んでいるSLの生合成経路と生理作用に関する研究について紹介した。SLは,β-カロテンを基質として,カロテノイドイソメラーゼ,カロテノイド酸化開裂酵素の働きにより,中間体カーラクトンが作られた後,チトクロムP450の酸化反応によって,少なくとも2タイプのSLが作られ,一つは古くから知られている4-デオキシオロバンコールやオロバンコールなどの四環性SLで,もう一つはB環とC環が開いたままのカーラクトン酸やカーラクトン酸メチルなどである。天然型のSLが植物ホルモンとしての生理活性を示すには,C環とD環をつなぐエノールエーテル構造とD環の2’位の立体配置が重要である。SLの生理作用としては,植物の枝分かれ,根の伸長,茎の肥大,葉の老化など,植物の様々な生理現象を制御することが知られている。また,それらに加えて,根圏のリン酸が欠乏するとそれに適応して,限られた栄養を効率よく分配するためのシグナルとして重要な植物ホルモンの役割を果たすことが示された。