抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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モモ園へ施肥した窒素成分が溶脱することにより周辺環境への負荷が懸念されている。そこで,ライシメーターを用い,施肥資材の違い,地表面管理法の違い,植栽樹の有無と窒素溶脱との関係について検討し環境にやさしい施肥法を明らかにした。1997年11月に2年生モモを場内ライシメーター(面積4m
2)に栽植後,2004年11月まで底部から浸透水を採取し,硝酸態窒素等成分量を測定した。施肥区は,被覆尿素肥料区(LP70),尿素区,有機配合肥料区で,年間窒素施肥量は樹齢に応じて80~180g・枠
-1とした。各施肥区は草生栽培または清耕栽培で管理した。草生栽培はイネ科雑草により地表面を被覆し,草刈りは4~5回・年
-1実施した。1.ライシメーター浸透水中の窒素濃度は,全区で冬季間は0.1mg・L
-1以下であったが,尿素区では3~7月にかけて最大14mg・L
-1と上昇し,その後は樹の養分吸収が良好となり低下した。草生栽培や他の資材区では低く,特に被覆尿素区ではほとんど溶脱しなかった。2.年間窒素溶脱率は植栽直後の年には17~27%とやや高かったがその後は0.3%以下と極めて低かった。しかし,灌水量を増やした2001年以降,清耕栽培の尿素区で最大9%,有機配合肥料区で最大2%と上昇したが,被覆尿素肥料区では変わらず低く抑えられた。3.清耕栽培の被覆尿素区において幹周の肥大と樹冠の拡大は良好で樹体生育は促進され,施肥窒素の吸収効率が最も高いと考えられた。その結果,果実収量も多かった。4.樹間部の施肥管理を検討するために2002年12月から2年間,モモの無植栽ライシメーターにおいて,地表面管理法による窒素溶脱への影響を検討した。清耕栽培では,無植栽状態における窒素溶脱量は植栽状態の平均10倍以上と多量であったが,草生栽培にすると窒素溶脱量は清耕栽培の1/2以下に低下した。5.以上より,窒素肥料,特に被覆尿素肥料によるモモ樹幹近くへの局所施肥,樹間部における草生栽培の活用により樹体生育を確保しながら窒素溶脱が抑制され,環境への負荷が軽減される。(著者抄録)