抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
カメラトラッピングは,動物の分布,密度および行動を評価するために広く用いられている新しい方法である。近年の研究はカメラトラップ研究の一般的なパターンをレビューしてそれらの利用性を推奨するが,カメラトラップを用いた霊長類研究はいまだ詳しくはレビューされていない。本稿において著者は,霊長類学においてカメラトラップを用いた研究(カメラトラップ霊長類研究[CTPS])に対するシステマティックレビューを行った。2001年から2017年の間に公刊された57の論文が見つかり,著者はそれらの研究目的と方法論を記録した。CTPSの数は2010年から増加し始め,CTPSの半分以上(64.9%)が行動に重点を置いていた。行動的CTPSの大部分は,道具使用,土食および捕食を含む採餌行動を研究していた一方で,著者らは探索活動リズム,陸上行動,生息場所利用および社会的行動を調査した研究も見出した。いくつかの研究は,調査地点での哺乳類チェックリストを完成させるためにカメラトラップを使用し,注目した霊長類種の存在を確認していた。いくつかの生態学的CTPSは,空間的捕獲-再捕獲モデルと捕獲率を用いることで個体群密度を推定し,また著者は,樹上生活霊長類の占有確率を算出する研究を見出した。著者は次に,カメラを配置する場合に考慮すべきいくつかの問題(センサ感度,画像タイプおよびカメラ配置),および得られた画像を分析する場合に考慮すべき問題(独立事象の定義および検出確率における潜在的バイアス)を指摘する。残念ながら,いくつかのCTPSはそれら研究の問題を充分に検証するようには設定されておらず,そして多くの論文は再現性を促進するための必須な情報の報告に失敗した。著者は,CTPSを実施する将来の研究者は夜行性霊長類,霊長類の体色と形態に対しそれ自体のカメラトラップ画像を用いる新しい方法論の探索,樹上生活性霊長類の密度推定のための方法論の開発,ならびに洗練された研究設定と報告の使用に重点を置くべきであると主張する。霊長類学者は,新しい技術を用いることで既存の仮説を検証可能となる。(翻訳著者抄録)