抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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茶園における環境保全型農業の実践程度を評価するための指標生物候補を寄生蜂類の中から選抜するために,防除圧が異なる研究センター内の茶園3圃場と現地の3圃場における寄生蜂相(ハチ目)とそれらの発生消長を,樹冠内に設置した黄色粘着トラップを用いて2008年と2009年の2年間調査した。研究センター圃場では2年間で合計12182頭,現地圃場では6953頭の寄生蜂をトラップで捕獲し,これらはすべて最低限,科のレベルまで個体識別した。研究センターの無農薬区では捕獲数の多い順にトビコバチ科,タマゴコバチ科,ヒゲナカガクロバチ科,ツヤコバチ科など18科(2008年)または16科(2009年)が,減農薬区では同様に,トビコバチ科,ツヤコバチ科,タマゴコバチ科,コマユバチ科など18または16科が,慣行防除区では,トビコバチ科,ツヤコバチ科,コマユバチ科,ホソハネコバチ科など15または18科が捕獲され,全体としては19科が認められた。現地圃場では,IPM区では10または11科が,慣行防除区では11または15科が捕獲され,全体としては18科が認められた。寄生蜂の科の構成比率は,研究センター内,現地圃場ともに処理区間で有意差が認められた。捕獲数の多い分類群は,クワシロカイガラムシの捕食寄生者であるチビトビコバチやサルメンツヤコバチや,コミカンアブラムシの捕食寄生者であるアブラコバチ類やアブラバチ類などで,研究センターではアザミウマタマゴバチの捕獲数も多かった。寄生蜂の発生ピークは,寄主である害虫の発生世代に同調していることが多く,世代が不明瞭な害虫種の場合は,その主な増殖時期に寄生蜂の発生ピークが認められた。各寄生蜂の発生数に及ぼす防除圧の影響はあまり明確ではなかったが,アザミウマタマゴバチなど一部の寄生蜂では防除圧の影響があったと考えられ,チビトビコバチ,サルメンツヤコバチ,ナナセツトビコバチ,アザミウマタマゴバチ,キイロタマゴバチを指標生物の候補種とした。(著者抄録)