抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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生殖細胞の保存には凍結保存法が広く用いられているが,細胞へのダメージは避けられず,融解後の受精や発生に影響を及ぼしている。現状の問題点としては,凍結により生じる細胞膜の損傷,保存液に含まれる凍害保護物質による細胞毒性である。この問題を解決するために,本研究では植物由来の氷晶形成抑制物質を用いて,細胞毒性のない保存液で生殖細胞の過冷却保存(未凍結保存)の可能性を検証することとした。氷晶形成抑制効果が知られているコーヒー粕エキスの有効成分を分析したところ,カフェイン,カフェ酸,クロロゲン酸,クマル酸が含まれ,特にカフェインで抗氷核活性(過冷却促進効果)が高いことが明らかになった。そこで,コーヒー粕抽出液とカフェインを氷晶形成抑制物質(過冷却促進物質)として保存液に添加し,その効果を検証した。その結果,コーヒー粕エキスとカフェインが,精子や卵子の過冷却保存に有効であり,-6°Cの温度条件下で7日間の保存が可能であることを明らかにした。動物種や対象細胞に最適な条件検討を行う必要はあるが,適切な条件を構築できれば,新規保存法としての発展が期待される。(著者抄録)