抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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太陽光発電システム(PVS)の2030年mでの累積導入目標53MWが実現するような状況では,個々の配電系統における電圧上昇だけでなく,電力系統全体のLFCなどにも大きな影響を及ぼすことが予想される。本研究では,地域メッシュ統計による簡易的なPVS賦存量算定の精度向上の可能性を検討するため,名古屋市を対象として500m×500m単位の1,115区域における総建築面積及び総延床面積の算定について,基礎データとして地域メッシュ統計を利用する場合と建築データを利用する場合とを比較した。各区域の戸建住宅の総建築面積については,住宅・土地統計調査における県別の一世帯あたりの平均建築面積に区域内の戸建住宅に居住する世帯数を乗じ,共同住宅については,平均延床面積(48m
2/世帯)に各地域における「1・2階に住む共同住宅世帯数」の半数を乗じて算定した。各区域の総延床面積については,戸建住宅・集合住宅の合計値として地域メッシュ統計に記載の世帯平均の延床面積に区域内の全世帯数を乗じて算定した。総建築面積については,建築データの方がより正確,総延床面積については,地域メッシュ統計がより正確と言え,補正係数を用いることで,計算精度を向上できると考えられる。戸建住宅におけるPVS賦存量としては,建築データに基づく場合に対して80MW(6.5%)程度,地域メッシュ統計に基づく値の方が小さい。集合住宅におけるPVS賦存量としては,建築データに基づく場合に対して153MW(31.4%)程度,地域メッシュ統計に基づく値の方が小さい。戸建住宅におけるPVSについては,地域メッシュ統計に基づく方法でも概ね適切な賦存量を算定できるが,集合住宅については,特に商業施設が多い区域を中心に賦存量を小さく見積もることがわかった。ただし,地域メッシュ統計に記載のデータから各区域の特徴を表す指標を抽出することで,地域メッシュ統計に基づく各区域の総建築面積やPVS賦存量の算定精度の向上が可能であることがわかった。そこで,今後は,そのような指標について検討し,地域メッシュ統計に基づく簡易的なPVS賦存量算定の精度向上について検討する予定である。