抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
農家経済活動の多角化は,近年,生産条件が不利な中山問地域において,その重要性を増しつつある。多角化を実施する農家は,従来とは異なる栽培技術の導入や商品化の工夫などを通じて農産物の価格形成や新たな経営部門の創出を実現する反面,習熟していない技術の導入やサービス提供に伴う不確実性に直面していることが考えられる。しかし,全国の中山間地域を対象に,多角化農家の特徴を,リスク態度を含めて定量的に分析した研究はほとんどみられない。そこで,本稿では,筆者らが全国の中山間地域の住民を対象に行ったアンケート調査の結果を用いて,農家の多角化行動とリスク態度との関係を定量的に検討することを目的とする。 調査の結果,中山間地域における多角化は,農家の収益性の向上をはかる手段として有効である反面,多角化の実施に際しては,作目数,環境保全型農業および不確実性の存在に着目する必要があることが指摘できた。つまり,多角化は,複数品目において実施が容易となり,環境保全型農業によって生産される農産物の高付加価値化を実現する一手段としての役割を果たしていると考えられる。しかし一方で,多角化には,農業生産に関するより多くの知識と経験に加え,経済活動に関する知識と顧客獲得能力も要求されるため,危険回避的な主体は多角化の実施を避ける傾向にあると考えられる。これに対し保険市場が完備されているならば,農家は多角化に伴うリスクをヘッジすることが可能となるが,保険市場の不備が農家の多角化を阻害していることを示唆している。