抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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富山大学の高圧実験装置を用いて室温及び最大180MPaの封圧において,深海底から採取した蛇紋岩の弾性波速度の測定を行なった。試料は航海KR07-02期間中にフィリピン海パレスベラ海盆のゴジラメガムリオンD17地点で採取された。蛇紋岩試料は2.37g/cm
3の密度をもち,主として中程度に線構造及び面構造が発達した縞状構造を示すリザダイト,クリソタイル,磁鉄鉱から構成されている。直方体試料の面は,岩石の面構造と線構造に平行または垂直である。さらに,線構造に平行な方向をx軸,面構造の法線方向をz軸とした。リザダイトはメッシュ状組織が発達し,いくつものクリソタイルの脈が全体の構造を切っている。クリソタイル脈は,線構造にほぼ直交するものが多い。180MPaにおけるP波速度はy軸方向で最も速く(4.56km/s),線構造に平行方向(x軸方向)で最も遅く(3.97km/s),面構造に直角(z軸方向)で中間(4.25km/s)である。方位異方性は180MPaにおいて13.85%である。S波速度は180MPaにおいて2.07~2.35km/sである。yz面に平行に振動するS波が最も速く,yz面に垂直に振動するSが最も遅い。偏向異方性はy軸方向(9.35%)及びz軸方向(12.24%)で強く,x軸方向で弱い(1.39%)。微細構造の検証に基づけば,観察した速度異方性は縞状構造よりもむしろクリソタイル脈の配向によって主として規制されている。