抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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有機・無機ハイブリッド材料とは,有機材料と無機材料を複合化することで,通常は同時に持つことのできない両者の機能を兼ね備える材料,もしくは両者の機能が連携することで全く新しい機能を示す材料のことを指す。ナノ粒子は「液相・固相との均一混合が可能な団体の一状態」,そして「ある機能を示す材料の最小単位」の両面を持ち,著者らは,この特性に着目した様々なナノ粒子の工学利用を進めている。これまでに超臨界水中における酸化物ナノ粒子の合成手法を開発し,様々な酸化物ナノ粒子の合成に成功している。金属酸化物は磁性,誘電性,蛍光特性,半導体特性など多岐にわたる機能を有しており,これらのナノ粒子をポリマー中に分散することで,多彩なポリマー材料を合成することが可能となろう。この視点のもと,本稿では我々が開発してきた酸化物ナノ粒子の超臨界水熱合成法を解説すると共に,この手法で合成した機能性ナノ粒子を紹介する。続いて,ポリマー中にナノ粒子を均一分散させるためのキーテクノロジーであるナノ粒子の表面修飾手法について概説すると共に,ポリマー中への酸化物ナノ粒子の分散による物性制御の一例として,ナノ粒子の分散による屈折率の制御を示す。さらに,本稿で示した手法は,高分子材料中へのナノ粒子の均一分散によるハイブリッド化であるが,他にも一つのナノ粒子と一つの分子との結合形成による新規分子材料の実現や,有機分子薄膜と機能性酸化物ナノ粒子の複合化など,様々な「ハイブリッド化」の手法があると考えている。前者は蛍光ナノ粒子と病変部位認識抗体との複合化による診断用ナノ粒子など,後者は印刷法などによる有機分子デバイスと磁性酸化物ナノ粒子の複合化など様々な応用が考えられる。