抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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人工ノイズが多く含まれる地域において高品質な広帯域MT法データを取得するためには,長期間に亘る観測が必要となる。また,人工ノイズは電場と磁場の間に何らかの相関関係を有している場合が多く,そのようなノイズ(以下,コヒーレントノイズ)は,信号との区別が付き難いため,調査技術者の目視による編集作業が不可欠である。このため,長期間に亘る観測データからコヒーレントノイズが卓越したデータを効率的且つ効果的に排除することは難しい。本稿では,根木ほか(2010)にて提案したMT法スペクトルデータの重み付けスタッキング方法について,その実データに対する適用性を検証するため,コヒーレント且つアンプリチュードが大きい人工ノイズを含むデータとして,能登半島において観測されたデータを用いた。本地域においては,日中から夜間にかけて直流電車の漏洩電流によるコヒーレントノイズが卓越しているが,深夜から夜明け前にかけての時間帯は比較的静穏であるため,信号スペクトルによる真の測定値を推定しやすい。これらの測点において取得されたデータに対し,本重み付けスタッキング方法を適用した結果,コヒーレントノイズが卓越している時間帯のデータの影響を低減することができた。これにより,本方法を用いることで従来の調査技術者による編集作業とは異なり,調査技術者が極力介在することなく短時間で編集作業を行えることが確認できた。(著者抄録)