抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,仙台平野における”居久根”と呼ばれる屋敷林の塩害被害と防災機能に関し,宮城県岩沼市玉浦三軒茶屋地区を事例として報告した。先ず,研究対象地の概要に関し,対象地は,宮城県岩沼市玉浦の三軒茶屋地区であることを報告した。次に,本研究における居久根の定義,対象地における居久根の概要を報告した。更に,研究手法は,国土地理院と岩沼市から入手した地図の分析,対象地での植生調査・アンケート調査に基づき,居久根の規模,立地条件,植生,空間構成,住民の認識の5つの視点から,特色の分析を行ったことを報告した。加えて,玉浦地区の居久根の特色に関し,面積規模,立地条件,居久根の植生,居久根の空間構成,近年の動向,当地域における人々の居久根に対する認識を報告した。それから,居久根の津波被害と防災機能に関し,居久根構成樹種の塩害被害,居久根の伐採状況と今後の考え,居久根の果たした防災機能を報告した。最後に,結論として,当地域の居久根は,300~600m
2で,周囲よりわずかに高い微地形上に立地していること,樹高に応じた階層性を主に北側・西側に有していること,当地域の居久根は震災前まで減少していたこと,当地域の居久根のスカイラインを構成する高木層は,他樹種に比べ塩害に弱いスギによって形成され,今回の津波で甚大な被害を受けたため,現在伐採が進んでいたこと,高台の存在しない平野部において,集落東縁部の世帯では,海側に存在した居久根が流れてきた流木・瓦礫を防ぎ,津波の勢いを弱めたこと,その他の世帯では津波が来る反対側の北側・西側の居久根が,家屋等の流出を防ぐなどの防災機能を果たしたこと等を報告した。