抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本ではハイテク産業を中心としてイノベーションの普及が求められているが,それらに適するベンチャー企業を育てるには初期市場から主要市場への移行を阻害する深い溝(キャズム)への示唆を得る必要がある。本論文では,1)イノベーター,2)アーリーアダプター,3)アーリーマジョリティ,4)レイトマジョリティ,5)ラガードといったMoorによるイノベーションの普及の採用者区分に対するエージェントを定義し,キャズムを再現するマルチ・エージェント・シミュレーションを開発した。まず,1)~5)の違いは経営戦略論における差別化行動と同質化行動という戦略的行動の取り方によると考え,各企業エージェントに行動戦略を判断する視野,差別化行動を取る条件として視野内の競合他社数,同質化行動を取る条件として観察する同業他社数を設定した。また,各企業エージェントは速さを持ち,Moorの示した割合で1)~5)を空間Industryのマップ上の要素として発生させ,i)視野内の同業他社が一定数以上であると相手と同じ方向・速さを取る,ii)視野内の競合他社が一定数以上であるとその方向+両側15度に方向を変える,iii)同業他社や競合他社がいなければ方向・速度ランダムといった状態変化を生じさせた。企業数200社の実験ではキャズムや区分間の断絶(クラック)を再現できた。