抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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陽子2つ,中性子2つからなるα粒子を単位とした,いくつかのクラスターに分けて考える,原子核の分子的な状態(アルファクラスター状態)について解説する。当初,この分子的な構造が原子核の描像とされていたが,20世紀半ばにシェル模型が確立されてから,その位置を失った。しかし,20世紀後半になると,核子の独立した粒子運動に立脚したシェル模型では説明できない事象が次々に発見され,再び関心がもたれるようになった。例えば,
16Cの最初の励起状態もシェル模型では説明がつかなかったが,
16C+αクラスタ状態として理解されるにいたった。クラスター間の相対運動を記述する波動関数の軌道角運動量の偶奇性に対応する,正,負パリティの回転帯が二重項を形成していることが,2種のクラスターからなる証拠である。その後,π中間子交換を主な起源とするテンソル力やアイソスピンが関与するクラスター状態もみいだされた。原子核はシェル状態や,分子的なクラスター状態など,さまざまな側面をもつものとして統一的に理解されるべきであろう。