抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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日本は世界でも平等な社会と言われていたが,現在都市農村格差の拡大に直面している。しかしながら,たとえ農村地域の賃金・所得水準が都市地域よりも低くても,人々は農村地域に留まり,時にはU・I・Jターンと言われる都市から農村への回帰を行っている。これらの事象は賃金や所得といった経済的要素以外の要素が人々の移動行動に影響を与えていることを示している。最近の研究では,主観的幸福度は人々が教授した効用を示す代理変数となり得ることが言われており,さらに持続可能経済福祉指標(ISEW)はGDPの代替指標として注目されている。しかしながら,これらの指標を適用して都市農村格差を評価した研究事例は少ない。そこで本研究では,日本における都市農村格差をGDP,持続可能経済福祉指標(ISEW),SWBの3つの異なる指標で測り,都市農村格差の存在の有無を明らかにするとともに,都市と農村の住民の間でSWBの決定要因に差が見られるかを検証することを目的とする。本研究の分析により,都市農村格差について多角的な視点から有用な情報を提供することができる上,各指標の特性を把握することにも貢献する。分析の結果,ISEWとGDPで見た場合,都市農村格差は確かに存在し,GDPとISEWではISEWで見た場合の方が都市農村格差の規模は小さくなる。一方,県単位での都市農村区分でも主観的な都市住民,農村住民の区分のいずれにおいてもSWBの都市農村格差は観察できなかった。しかしながら,SWBに影響を与える要素については,都市住民と農村住民で大きな差異が観察され,特に農村住民は所得以外の多くの要素がSWBに影響を与えていることが明らかになった。このとこから,農村住民のSWBを向上させるためには所得向上のみでは不十分であり,さまざまな要因を考慮することが必要であるとも示唆された。これらの結果から,都市農村格差はどの指標によって計測するかによって大きな違いがあると結論づけられ,都市農村格差は経済指標だけではなく,SWBなどさまざまな指標を用いて計測すべきであることが示唆された。(著者抄録)