抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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低NaCl濃度のNorth Carolina State University 37(NCSU37)(低NaCl-NCSU37)およびヒアルロン酸合成阻害剤である4-methylumbeliferone(MU)を0.25mM含むNCSU37(MU-NCSU7)で培養したブタ卵母細胞について,囲卵腔の大きさ,ヒアルロン酸含有量および媒精後の多精子侵入の頻度をそれぞれ観察して対照の卵母細胞と比較し,囲卵腔の大きさとヒアルロン酸含有量との関係および囲卵腔の大きさと多精子侵入の頻度との関係を検討した。また,多精子侵入防御に役割を果たす表層粒の分布状態についても観察した。胞状卵胞から採取直後の卵母細胞では,囲卵腔は0.63μmあったが,卵母細胞の囲卵腔は,通常のNaCl濃度のNCSU37で培養32時間以降有意に拡大し,培養後44時間には4.58μmになった。一方,低NaCl-NCSU37で44時間培養した卵母細胞の囲卵腔は6.25μmあり,対照のNCSU37で培養した卵母細胞の4.93μmに比べて有意に大きかった。また,MU処置した卵母細胞の囲卵腔は4.02μmであり,対照のMU処置していない卵母細胞の4.69μmに比べて有意に小さかった。ヒアルロン酸は,採取直後の卵母細胞では検出できなかったが,NCSU37で44時間培養後の卵母細胞では1個あたり227.76pg検出された。一方,低NaCl-NCSU37で44時間培養した卵母細胞では370.01pgのヒアルロン酸が検出され,この値はNCSU37で培養した卵母細胞の含有量に比べて有意に多かった。また,MU処置した卵母細胞のヒアルロン酸含有量は349.18pgであり,対照のMU処置していない卵母細胞の485.52pgに比べて有意に少なかった。受精率は,低NaCl-NCSU37で培養した卵母細胞と対照のNCSU37で培養した卵母細胞では80.9および82.5%,MU処置した卵母細胞と対照のMU処置していない卵母細胞では88.1および85.7%であり,それぞれの処置を施した卵母細胞と対照の卵母細胞との間で相違なかった。一方,多精子侵入の頻度は,低NaCl-NCSU37で培養した卵母細胞の32.7%に比べ,対照のNCSU37で培養した卵母細胞では有意に高く,51.9%であった。また,MU処置していない対照の卵母細胞の多精子侵入の頻度は47.6%であり,MU処置した卵母細胞の70.3%に比べて有意に低かった。表層粒のほとんどが細胞膜直下の細胞質に分布している卵母細胞の割合は,低NaCl-NCSU37で44時間培養した卵母細胞と対照のNCSU37で培養した卵母細胞の間,MU処置した卵母細胞と対照のMU処置していない卵母細胞の間でそれぞれ相違なかった。以上の結果から,囲卵腔の大きさとヒアルロン酸含有量との間には密接な関係のあることが推察されるとともに,囲卵腔の大きさと多精子侵入の頻度との間にも密接な関係があることが確かめられた。また,小型の囲卵腔を有する卵母細胞での媒精後の多精子侵入の高頻度は,これらの卵母細胞における表層粒の不備が原因ではないことが推察された。(著者抄録)