抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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【背景】昨今,各地で大規模な水害が頻発している。2015年9月には鬼怒川の越水によって大規模な水害が発生し大量の水害廃棄物が発生した。このような経験から,迅速な復旧・復興の妨げとなる水害廃棄物の適正な処理が重要な課題となっている。2005年6月には環境省において水害廃棄物対策指針が出され,水防法で指定される浸水想定区域に該当する場所は,市町村において洪水ハザードマップ等を参考に,適切な水害廃棄物対策をとることが望ましいとされた。これは,水害が発生する事前段階において対策が備わっていれば,いざ水害が発生した場合でもその対応が適切にとれる可能性が高くなることを意図している。最終的には,水害の被害を軽減するとともに,迅速な復旧・復興が見込める。【目的】本研究では,水害が起きる事前段階における適正な水害廃棄物処理計画と対策に寄与することを目的とした。【研究手順】被災現場(家屋等)や簡易集積所から一次集積所までは,地域が責任を持って処理することが基本であり,住民・地域・行政と地域内外からのボランティアとが協働して実施する必要がある。すなわち,廃棄物の処理は自治体だけでなく,一般住民やボランティア組織の自主的な行動と協力が必要である。そのため,ここでは次の点に着目して研究した。まず,どのような種類の水害廃棄物が発生するのかを把握した。これは,廃棄物の処理を円滑に進めるため,事前段階において分別処理を含めた水害廃棄物処理のあり方が検討できる。とりわけ,建築物と家財由来の水害廃棄物を詳細に把握するため,その用途,構造,種類等を資料やWebアンケート調査等によって収集・分析した。さらに,どの地域からどの程度の水害廃棄物が発生するのかを詳細な空間単位によって把握することで,その具体的な処理計画である仮置き場の選定,円滑な収集・運搬方法の構築,廃棄物の撤去・解体方法,最終処分場の処理能力と広域処理の検討等を行える情報を整備した。また,一般住民の廃棄物処理に関する意識調査を行うことで,水害廃棄物に対する対応力や支援の必要性,またその処理に関する課題等を明らかにした。【新規性】将来,水害の発生が懸念される地域において,水害廃棄物の発生場所やその量と種類を把握するとともに,適正な水害廃棄物処理のあり方を発生の事前段階から計画・対策しておくことに寄与する研究であり,建築物や家財等を含め,その処理過程における住民の関わり方と課題について検討した。【研究成果】多摩川流域を対象に,水害廃棄物発生量の把握とその処理計画のあり方を検討することが可能となったとともに,これら一連の水害廃棄物研究の分析手法や研究フローを示した。具体的には以下である。・建築物由来の水害廃棄物がどの地域からどの程度発生するのか種類を含め把握した。・居住形態・延床面積・家財の設置階数を考慮した1世帯当たり家財所有量に関する原単位を作成した。本原単位を利用することで,半壊・全壊等の被害の程度を加味した詳細な家財由来の災害廃棄物発生量を推計することができるようになった。・世帯属性ごとの災害廃棄物への対応力をアンケート調査により把握し,高齢世帯が多い地区での対応力に不足があること,単身・夫婦世帯が多い地区は若年層であっても対応力が不十分となることが明らかとなった。【今後の課題】気候変動による河川の氾濫状況や人間社会の変化を考慮する必要がある。また,使用していない家財ストックを事前に撤去しておくことによる水害廃棄物発生量の抑制効果を検討する必要がある。さらに,各復旧作業を廃棄物発生量と関連付けることでどの程度の作業量か分かるため,地域ごとの自助・共助力の違いに応じたボランティア等の最適な資源投入の計画を検討したい。(著者抄録)