抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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近年,海外における鉄道市場の規模が拡大している中,日本の支援や日本企業による現地への参入を検討する場合,各国における鉄道プロジェクトの鉄道特性の理解や各国・地域の市場動向を踏まえることが好ましい。日本では,旅客における鉄道の分担率が高いものの,貨物は自動車が主体であり,旅客に特化した輸送体系に特徴があると考えられる。一方で,世界各国の鉄道の傾向を国別に考えると,鉄道の整備状況や輸送状況は各地域の鉄道整備の経緯や近年の施策により左右され,その結果として輸送量や輸送形態が大きく異なる状況にある。例えば,中米各国の鉄道は農産物などの貨物の輸送を目的に整備が進められたものが多いが,道路輸送へのシフトにより鉄道事業は衰退傾向にあり,鉄道運営には再投資が必要なケースもみられる。またアフリカでは,宗主国による鉄道整備ののち,資源や農産物などの輸送を中心とした国際列車が運行されている状況にあり,双地域ともに貨物主体と理解できる。一方で,近年ではイギリスなどで鉄道の民営化によるサービスの質向上により利用者が増加した事例など,民間企業の活用によるに投資の例もあるが,鉄道への投資は巨額になる傾向にあり,民営化が必ずしもうまくいかないケースもある。なお,各国都市部におけるメトロ(都市鉄道)は,国民所得の向上により整備が開始され,都市規模などにより輸送実態の傾向が一定程度示される。そこで,本稿では各国における全体の鉄道の需要輸送警戒に関する傾向について,可能な限り定量的な指標を用いて類型化を試みることにより,各国における鉄道の特性を把握することを目的とする。(著者抄録)
