抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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青ヶ島における現地調査により,青酎の製造方法と成分(一般成分,香気成分)や官能評価の違いについて明らかにした。1)青酎の製造者は8名であり,大麦を麹原料として,仕込み法は二次仕込み法とどんぶり仕込み法に大別された。前者は市販の種麹と培養酵母を用い,後者は製麹時に妙った大麦を浸漬した大麦に加える製造者や麹の水分蒸発を防止するためにオオタニワタリを被せる製造者がいた。製麹には市販の種麹,友麹または野生の微生物を用いていた。麹原料を一部または全て妙っていた製造者は6名であった。また,培養酵母は1名が用い,他の7名は野生酵母を利用していた。2)一般成分分析の結果,焼酎酸度,紫外部吸収およびTBA価は対照焼酎と比較して高い値であった。3)GC-MS分析の結果,香気成分が69成分が同定された。青酎は19成分の濃度が対照焼酎と比較し有意に高かった。青酎間で比較すると二次仕込み法で造ったA-1,A-2,A-3およびA-4はその他の野生の微生物を利用したB-1,B-2,C,D,E,F,GおよびHと比較して,11成分が有意に高かった。一方,野生の微生物を利用した青酎に多く含まれる傾向にあった成分は,2成分であった。また,69成分を用い,主成分分析を行った結果,青酎は4つのクラスターを形成した。4)官能評価から青酎の特徴的な香気のコメントは「青臭」および「酸臭」であることがわかった。「青臭」の強弱に影響を与える成分の特定はできなかった。野生の微生物で製麹または酵母無添加のどんぶり仕込みで造られたものは,「酸臭」が強く感じられた。「油臭」は中鎖脂肪酸由来の可能性が示された。(著者抄録)