抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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我が国には約20万か所ものため池が存在し,その大部分が中山間地域に位置している.ため池は,農業用水や集落の生活用水の確保という面で中山間地域の農村にとって極めて重要な施設であるとともに,各地域特有の水環境やそれらに依拠する生態系を構成し,地域の自然環境を決定づける役割も有している.このようにため池は中山間地域において多面的かつ重要な機能を有するインフラであるが,その維持管理に関する問題は,中山間地域の少子高齢化・農業の担い手減少により深刻化している.管理が粗放化あるいは放棄されたため池は,農村における持続的な営農の支障となるだけではなく,洪水の際には下流域の水害リスクを増大させる可能性もある.ため池をめぐる諸課題は,さまざまな要因が複雑に関連しあうものであり,そのため中山間地域の持続的な治水・利水戦略を考える上では,自然科学・社会科学分野を絡めた学際的な研究アプローチ,さらにはステークホルダーとの協働による超学際的取り組みが不可欠である.本発表では,著者らが農業農村工学,農業経済学,河川工学,環境水文学,水文気候学など,さまざまな分野を横断的に形成した研究グループにより愛媛県西条市において実施中の,ため池群を対象とした学際的研究取り組みについて概説し,これまでに得られている成果や今後の展望について紹介する.(著者抄録)