抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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オペレーティングシステム(OS)カーネルにおいて,カーネルの仮想記憶空間は全てのユーザプロセスで共有されている.カーネルにおいてメモリ破壊攻撃を行える脆弱性が存在する場合,ユーザプロセスは任意のカーネルコードやデータを改竄し,特権奪取やセキュリティ機能の無効化が可能となる.先行研究では,カーネルの仮想記憶空間におけるカーネルコードやデータの仮想アドレスのランダム化,カーネルコードの呼出し順の検査による攻撃の困難化などによりメモリ破壊攻撃を防ぐ対策が進められた.しかし,依然として,メモリ破壊攻撃に利用可能なカーネル脆弱性の発見や新たな攻撃手法が考案された場合,カーネルの仮想記憶空間はメモリ破壊攻撃の影響を受ける可能性がある.本稿では,ユーザプロセス毎にカーネルの仮想記憶空間を分割可能にすることで,メモリ破壊攻撃による影響を軽減する排他的ページ管理機構の構成について安全性を向上させた方式,および性能を重視した方式を提案し,性能評価と機能考察を行う.排他的ページ管理機構は,カーネルの管理するページ参照を動的に制御し,カーネルの仮想記憶空間の一部をユーザプロセス毎に割当てており,Linuxカーネルに実装した排他的ページ管理機構ではカーネル性能の低下は生じるものの,ユーザプロセスへの負荷は限定的であることを確認した.(著者抄録)