文献

J-GLOBAL ID：202202250011535972   整理番号：22A1840513

チオ硫酸銀錯体とベンジルアデニンの組み合わせ処理はダッチアイリス ‘ブルーマジック’ 切り花貯蔵後の品質を改善する

Combination Treatment of Silver Thio-Sulfate Complex with 6-Benzyladenine Improves the Cut Flower Quality after Cold Dry Storage in Dutch Iris ‘Blue Magic’

著者 (4件)： 豊原憲子 (地方独立行政法人大阪府立環境農林水産総合研究所) ,  豊原憲子 (岡山大学大学院環境生命科学研究科) ,  北村嘉邦 (岡山大学大学院環境生命科学研究科) ,  後藤丹十郎 (岡山大学大学院環境生命科学研究科)
資料名： 園芸学研究  (Horticultural Research (Japan))
巻： 21  号： 2  ページ： 219-227(J-STAGE)  発行年： 2022年 
JST資料番号： L4829A  ISSN： 1347-2658  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： アイリスは低温であっても乾式貯蔵により開花不良が発生するとともに,観賞期間が短いことが問題となっている.一方,出荷日を調整するために貯蔵は不可欠である.開花不良を改善するgibberellin(GA₃)は薬剤が高価であり,これを含む品質保持剤の導入は生産現場において限定的である.そこで,GA₃の代替として,GA₃よりも安価で開花不良の改善効果について報告のあるsilver thio-sulfate complex(STS)およびSTSとbenzyladenine(BA)の組み合わせが開花不良と観賞期間に及ぼす効果について調査した.STSは,5°C・5日間の低温乾式貯蔵前の処理により,正常開花率は対照(水道水)区の0%に対し60%となり花被片展開を促進したが,その効果はGA₃の100%より低かった.また,STSとGA₃は観賞期間を4.0日から5.0日に延長したが,その効果はBAの5.8日より低かった.一方,低温乾式貯蔵後の処理において,STSやBAは正常開花率を向上させるとともに観賞期間を延長したが,GA₃の正常開花率は20%に低下し,観賞期間を延長しなかった.貯蔵前のSTSとBAの組み合わせ処理による観賞期間の延長効果は2.5日であり,それぞれの単独処理よりも延長した.STSとBAの組み合わせによる観賞期間の延長はGA₃とBAの組み合わせと同等であった.エチレンによる花被片展開への影響と前処理による改善効果を調べるために,STS,BA,GA₃を吸液した切り花にエチレンを10 μL・L^-1の濃度で24時間暴露した.STSは86%が正常に開花したが,GA₃では57%となり,乾式貯蔵前処理による結果と異なり,エチレン曝露に対してはSTSの効果が高かった.貯蔵期間を延長した実験では,STSとBAの組み合わせ処理により,5°Cで15日間の乾式貯蔵後も,高い正常開花率が保たれて観賞期間が延長した.STSの処理コストは1本5 mL当たり0.2 mM濃度で0.04円とGA₃の100 ppm濃度での2.3円と比べて安価であることから,STSとBAの組み合わせ処理は経済的な処理方法であると考えられた.(著者抄録)

シソーラス用語： *アヤメ ,  *切花 ,  *貯蔵安定性 ,  出荷 ,  開花 ,  *植物成長調整剤 ,  乾式貯蔵 ,  品質管理 ,  鮮度保持剤 ,  *チオ硫酸銀錯塩 ,  低価格 ,  アルケン ,  窒素複素環化合物 ,  芳香族化合物 ,  第二アミン
準シソーラス用語： *チオ硫酸銀錯体 ,  安価

著者キーワード (10件)： ジベレリン ,  花被片老化 ,  開花 ,  観賞期間 ,  経済的 ,  economical ,  gibberellin ,  flower opening ,  tepal senescence ,  vase life

分類 (2件)： 花き・花木  (FC03044O) ,  植物成長調整剤  (FB06060M)

物質索引 (2件)： エチレン ,  ベンジルアデニン

引用文献 (27件)：

• Çelikel, F. G. and W. G. van Doorn. 1995a. Effects of water stress and gibberellin on flower opening in Iris × hollandica. Acta Hortic. 405: 246-252.
• Celikel, F. G. and W. G. van Doorn. 1995b. Solute leakage, lipid peroxidation, and protein degradation during the senescence of Iris tepals. Physiol. Plant. 94: 515-521.
• Çelikel, F. G. and W. G. van Doorn. 2012. Endogenous ethylene does not regulate opening of unstressed Iris flowers but strongly inhibits it in water-stressed flowers. J. Plant Physiol. 169: 1425-1429.
• 堀川照男.1995a.栽培特性と経営上の課題.p. 326-327.農業技術大系花卉編.第10巻.シクラメン/球根類.農文協.東京.
• 堀川照男.1995b.開花期,収量,品質を左右する要因と技術対応.p. 329-332.農業技術大系花卉編.第10巻.シクラメン/球根類.農文協.東京.

タイトルに関連する用語 (7件)： チオ硫酸銀錯体 ,  ベンジルアデニン ,  組み合わせ ,  ブルー ,  マジック ,  切り花 ,  貯蔵